朝はめて夜はずせば良い入れ歯(茶筒式入れ歯)

・コーヌス義歯、テレスコープ義歯

 茶筒式入れ歯は、維持、安定が良く、原則的に朝起きて朝食前に口に入れて、夕食後就寝前に外せば良い、とても扱いやすい入れ歯です。茶筒の筒と蓋の要領で入れ歯をしっかり維持し、又、筒となる歯の固定、補強にも役立ちます。この筒となる部分にご自分の歯やインプラントを活用します。

 インプラントを使用して固定式のブリッジタイプを希望されがちでしょうが、患者様の年齢を考え、将来的に介助されるお立場になられても、介助者にとっても口の中も入れ歯も清掃し易いという点で出し入れ式の入れ歯である事は今後の高齢化社会を見据えますと大切な要点と考えます。

          

・症例1

      治療前

平成28年3月初診 男性 年齢 73歳

完成同年7月26日

 

初診時、下顎奥歯は既に無く、噛みこんでしまう事で前歯が欠け始めていました。それでも噛める部分はこの欠け始めた前歯だけでした。噛み合わせの高さは当然、体が求める高さより低くなっていました。

      

      治療後

約4ヵ月後の7月26日上下顎完成。 

 

上は多くのご自分の歯が残せたので固定式です。

寝る時は、上には被せ物を保護する為のマウスピース装着、下の入れ歯は外して頂きます。初期費用はかかっても、長くご使用頂ける予知性の高い入れ歯です。

 将来的に維持管理費や壊れた時の修理費が必要となりますがそれは車の車検や修理と同じです。

下顎の口の中

ご自分の歯3本、インプラント3本を茶筒の筒とした入れ歯(出し入れ式)

ご自分の歯はこれから失っていく可能性が無いとは言えませんが、インプラントは顎に大きな怪我でもしない限り、管理をしっかりすれば10、15~20年とご使用頂けます。従って、この入れ歯のまま、長く使用して頂く為にインプラントの筒を適正な位置に3本埋入しています。

 

入れ歯を噛む面から見た写真

基本的には総入れ歯です。上が固定式ですので、材料的に負けないように下の入れ歯は金属歯を加工、より良い咀嚼力を獲得しています。患者様方はスジ肉や明太子フランスも楽しんでおられます。

この患者様は入れ歯を一日中使用していると、それだけ噛む力がかかって、外しにくくなるので、分離財を使用しておられます。それ位、しっかりした入れ歯であり、食事、 会話に全く不自由を感じておられません

 

入れ歯を裏返して見た写真

茶筒式の蓋部分が入れ歯に被せ物として細工されています。

この茶筒式の細工が非常に精密で難しいと言われていますが、当院の数多くの患者様はこの設計の入れ歯を享受し、とても上手に年齢を重ねておられます。

最終補綴物作製技工所:神戸デンタルアートスタジオ・寺尾登喜雄先生とスタッフ

                         

・症例2

平成22年12月再初診 58才 女性

3年位前から他院に通院し、その年の夏から1か月に1回通院するが改善しない。

当院では平成5年初診、平成8年4月の検診まで27本の歯が存在していました。

14年後に意を決して再来院された時の口腔内写真、レントゲン画像が下段です。

高度歯槽膿漏、歯は動く、歯茎は腫れ、

出血、口臭も少なくありませんでした。

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平成23年2月 3か月後

非常にえづきやすい体質の方で、上顎を

全部覆ってしまう入れ歯は使用できない為、残せる歯と残せない歯についてよく説明し、上下左右の犬歯を活用した茶筒式入れ歯の真似事の入れ歯を当面ご使用頂く事としました。

 

この方の治療ゴールは上下2本ずつのインプラント埋入をしたインプラントコーヌス入れ歯ですが、少なからず治療費用もかかります。茶筒式入れ歯の真似事の入れ歯を作製するのに幸い犬歯が活用できましたので、疑似体験にて使用感を確認して頂き、ご予算が立った順に3年後の平成26年に上、5年後の平成28年に下と治療を進めました。

仕事をお持ちで、入れ歯が使用できない期間を最短にする為、揺れながらも入れ歯を支えてくれる犬歯が活用できなくなる前に最適な位置にインプラント埋入手術を行い、骨につき次第、

入れ歯作製を直ぐ始める治療計画を

上下共にたてました。

10年目の令和2年4月現在、食事、会話に一切支障なく、3か月に1回の定期健診で

良好な経過を享受しておられます。手術から上のインプラントは6年経過、下のインプラントは4年半経過していますが、問題となる兆しは全く無く、今後も顔、顎周辺に大きな怪我でもなさらない限り、4本のインプラントを活用した上下コーヌス義歯は、この方に予知性の高い、快適な食生活とライフスタイルを提供する事でしょう。

最終補綴物作製技工所:神戸デンタルアートスタジオ・寺尾登喜雄先生とスタッフの皆さん